本記事では、戦略コンサル出身の著者が、ハイパフォーマーと評価されるアナリストの共通点、目指し方について解説します。
入社してしまえば先輩から聞く内容とほぼ同じなので、内定者が一番価値を感じられるコンテンツになるかと思います。
【著者の略歴】
京都大学から新卒でBain&Companyに入社。金融、電子機器、ヘルスケア領域の企業への、収益性改善、組織改革、買収提案などのプロジェクトを経験し、同社を卒業後、人材領域で創業。学生時代はITコンサルでの長期インターンも経験。
分かりやすい目標:アーリープロモーション
まず、「高評価」の分かりやすい定量目標は何と言ってもアーリープロモーションでしょう。
ファームによって異なりますが、通常は、新卒入社して2~2年半後がプロモーションのタイミングになります。
アーリープロモーションとは、通常の昇進タイミングより1サイクル(ほとんどの場合半年間)早く昇進することです。
そうなるための条件は、通常タイミングで昇進するより1サイクル前の評価の時点で、次の職位(ここではシニアアナリストと呼ぶ)のロールをこなせると認められること、です。
ただ、そう認められるためには、まず、シニアアナリストに近い仕事を任せてもらう必要があり、任せてもらうためにはアナリストの業務をそのファームの基準値を超えたレベルで出来る必要があります。
コンサルティングスキルは、努力で再現性高く身につくものであり、経験量がモノを言う世界であるため、
・前半戦:なるべく早くアナリスト業務を完璧化する(→そしてシニアアナリスト業務をもらう)
・後半戦:シニアアナリスト業務をアーリープロモーションの評価タイミングまでに捌けるようになる
の大きく2段階存在する中で、少しでも早く後半戦に突入できると有利です。
故に、本記事では、後半戦と前半戦それぞれについて解説しますが、前半戦の方が業務内容がハードスキル寄りでテクニック論の効果が大きく、後半戦はOJT以外に結局無いので、参考程度に思っていただけますと幸いです。
また、ハイパフォーマーとされるアナリストは、大きく2タイプで、①前半戦のハードスキルの完成度が高く安心感がある②後半戦のストーリーラインを描く能力が高いからアナリストなのに鋭い示唆を出してくる、の2パターンだと感じました。
※著者は1年で辞めて起業したのでアーリーどころかプロモーションすらしていないです()
後半戦:シニアアナリストに求められる能力
”与えられた”論点のオーナーではなくクライアントに刺すためのアウトプットのオーナーとして、ストーリーを紡げる
アナリストとの明確な違いとして、分解された小さな論点、タスク、プロセスではなく、領域丸っと担当するというのがシニアアナリストのロールになります。
例えば、クライアントが事業を2つやっていて、A事業が売上営利の85%を稼いでいてB事業が15%を稼いでいるとした時、B事業は丸ごと1人で担当してマネージャー直下で動く、等です。
そのためには、”与えられた”論点、タスクからKey Questionをくり抜き、検証し、結果を紙にする能力は当然身についている前提で、ビジネス的なメッセージを作る力、ストーリーラインを紡ぐ力が必要になります。
さらに、そのメッセージを当てる相手がどういう力学で動く人達で、だからこういう言い方が刺さるんじゃないか?、を適切に考え実行するクライアントコミュニケーション能力が必要になります。
逆に言うと、アナリストの時は、誰かしら上司の下についてクライアントと間接的に接しており、前に出ないことが多いです。
とは言っても、やったことなければ全然イメージ湧かないと思います(笑)
(著者が退職した入社後1年経過時点では、「アナリストの中では強い方だけど、シニアアナリストとして働くにはまだまだ伸ばす必要があるね」と評価されていました。)
前半戦:アナリストに求められる能力
議事録が取れる、設計から実行まで「分析」ができる、資料作成ができる
以下に箇条書きで示します
- 1. 議事録が取れる
- MTGが終わって5分以内にTakeawayを上げられる
- そのTakeawayは完璧に構造化されたアサーションツリーになっている
- 固有名詞や数字などの詳細情報まで漏らさずメモる
- 2. 設計から実行まで「分析」ができる
- 上から降って来た作業を実行するだけでなく、欲しい示唆を念頭に置いた分析設計ができる
- クライアントに成果物としてそのまま渡せるExcelモデルが組める
- Output、Calculation、Assumption、Rawが奇麗に分かれていてTangibleである
- 見やすいグラフィクスになっている
- 3. 資料作成ができる
- 紙(パワポ)のコンサル一般的な型が身についていて作成が速い
- そのファームのグラフィクスルールに則った紙に仕上げられる
これを入社後1年以内、理想的には半年時点くらいでできていれば前半戦としてはOKで、後半戦に入れます。
入社前にやっておくとよいこと、やらなくてよいこと
タイピング練習
議事録を取る上で生命線になる能力がタイピング力です。(ちなみに私は入社時点ではブラインドタッチすら完全ではなかったので最初のプロジェクトで苦しみました)
寿司打12,000円が最低ラインです。
時間に余裕があれば、タイピング最適化もしておくと尚良いかと。
ブティックファームでのインターン
これは中高一貫進学校が高校数学を中等部で始めるようなもので、当然かなり有効です。
ただ、大学最後の1年間の方が遥かにプライスレスなので、他にやりたいことが全然無いならやればいいかな?と個人的には思います。
英語
英語力の影響はファームによって全然異なりますが、あるに越したことはないですし、英語力はコンサルという小さな枠組にとどまらず人生全体であったほうが絶対に良いものなので、頑張った方がいいと思います(自戒)
その他
Excel・パワポ・リサーチのハードスキルを自習するのはマジでおすすめしないです。
実務の中で身に着ける100倍くらい効率が悪く、時間がもったいないからです。
入社後の立ち回り
最初のプロジェクトに全集中する
どの世界でもそうだと思いますが、最初の印象で、好循環に入れるか悪循環にハマるか、がある程度は決まります。
それは、アサインにおいてもPJ内での仕事の振られ方でもそうです。
なので、最初のプロジェクトでは、土日もフル投下するつもりでアクセルを踏んだ方がいいと思います。
それで、好循環に入りだんだん楽になっていくプランの方が一定のペースで頑張るよりも、2年間で積分した総苦痛量は小さくなることが多いかと。
ケースコンテクストの理解に命を懸ける
これは、私の師匠の教えでもありますが、実は、ケースコンテクストの理解度がほぼ唯一の変数です。
具体的には、業界の専門知識、3CとSCQのハイレベルな理解、クライアントのターミノロジーなどが該当します。
特に、長期のケースに途中参加でアサインされた場合、過去資料が膨大にあり、それらに早くキャッチアップすることが強く求められます。
ケースコンテクストが入っていないと、頭を使う土俵にすら立てないので、論点仮説!ロジカルシンキング!とか言ってる場合じゃないです。
この過去資料を読み込む時は、漠然と読んでいても全然頭に入ってこないので、自分で論点を分解し、PJ全体のストーリーラインを自分の言葉で書き下すのがおすすめです。
まとめ
コンサル志望者よりも内定者にとって有益度が高いコンテンツになりましたが、志望者でも、目指すにあたって業務への解像度を上げておく効用も一定あると思います。
少しでも参考になれば幸いです。
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